蚊が媒介する6つの感染症|モスブロッカー技術顧問ジェイムス・マイケルが語る“見えないリスク”とその予防策
- Jamie Lane
- Aug 2
- 4 min read
こんにちは。モスブロッカーの技術顧問 ジェイムス・マイケルです。
私たちが普段“うっとおしい存在”として感じている「蚊」は、実は世界で最も人の命を奪っている生き物でもあります。
WHOの統計によれば、年間で100万人以上が蚊が媒介する病気で命を落としていると言われています。
本記事では、蚊が媒介する代表的な感染症について、その症状・感染経路・発症国・日本でのリスクをわかりやすく整理します。

1. 🦟 デング熱|アジア全域で拡大中、日本でも発生例あり
原因ウイルス:デングウイルス(1〜4型)
媒介蚊:ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ
症状:発熱・頭痛・筋肉痛・発疹(重症化するとデング出血熱)
流行国:東南アジア・中南米・アフリカ
日本での事例:2014年、代々木公園での国内感染が確認され話題に
注意点:ヒトスジシマカは東京・大阪など都市部にも定着しており、夏季の渡航者や帰国者のウイルス持ち込みによって再流行の可能性が常にあります。
2. 🧠 日本脳炎|国内でもリスクがある“沈黙の感染症”
原因ウイルス:日本脳炎ウイルス
媒介蚊:コガタアカイエカ
症状:無症状が多いが、重症化すると高熱・意識障害・けいれん
流行国:東アジア全域
日本での対応:小児への予防接種(定期接種)が実施されている
補足:日本国内では主に「豚」をウイルスの増幅宿主とするサイクルが成立しており、人から人へは感染しません。しかし蚊を介して感染するため、農村地域・湿地帯・田園周辺に住む方は特に注意が必要です。
3. 👶 ジカ熱|妊婦の感染が胎児に影響する恐ろしさ
原因ウイルス:ジカウイルス
媒介蚊:ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ
症状:軽度の発熱・発疹・結膜炎(症状は比較的軽い)
大きな問題:妊娠中の感染により胎児が小頭症になるリスクがある
流行国:南米・東南アジア・アフリカ
重要点:2015年以降、WHOが「国際的な公衆衛生上の緊急事態」と宣言したほどの影響力を持つウイルスです。
4. 🌿 マラリア|日本では稀だが依然として“世界の脅威”
原因:マラリア原虫(ウイルスではなく寄生虫)
媒介蚊:ハマダラカ属
症状:周期的な高熱・寒気・頭痛・貧血(重症化で致死率高)
流行国:アフリカ・中南米・南アジア
予防法:ワクチン接種(地域によっては渡航前に推奨)
注意:国内での感染はありませんが、海外渡航者の発症報告は継続的に存在。旅行者・バックパッカーの感染が毎年10〜20人程度報告されています。
5. 🦠 黄熱(おうねつ)|“黄熱ワクチン”の必要性
原因ウイルス:黄熱ウイルス(フラビウイルス属)
媒介蚊:ネッタイシマカ
症状:高熱・嘔吐・黄疸・肝不全(致死率高)
予防法:黄熱ワクチン(渡航国によっては接種証明が必要)
流行国:アフリカ中部・南アメリカの一部
ポイント:「黄熱病」は渡航前ワクチンの**“イエローカード(接種証明)”が義務づけられている**数少ない感染症です。
6. 🤒 チクングニア熱|急増するアジア・欧州への波
原因ウイルス:チクングニアウイルス
媒介蚊:ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ
症状:高熱・関節痛・発疹(数ヶ月続く関節痛が特徴)
流行地域:インド・インド洋沿岸・ヨーロッパ南部(イタリア、フランス)
備考:ウイルス変異により、温帯地域でも定着可能性が高くなってきていることから、今後の感染拡大が懸念される新興ウイルスです。
🧪 技術顧問としての視点:なぜ“蚊”はこれほど危険なのか?
私は長年、フィールドでの蚊の行動解析と防除に携わってきました。その中で痛感するのは、蚊という生物が“最も効率よくウイルスを運ぶ媒体”であるということです。
小型で目立たない
人間の血液を直接吸う(ウイルスが血中に入る)
多くの地域に広く生息
水さえあれば繁殖できる
この“完璧すぎる構造”が、蚊を世界的リスクに変えているのです。
🧭 まとめ:知ることが第一の防御である
感染症は突然やってきますが、「知っている人」と「知らない人」では対処の仕方がまったく異なります。
夏に渡航する人
海外旅行が趣味の方
妊婦や小児、高齢者と暮らすご家庭
そうした人々にとって、「蚊によってもたらされる病気」を知ることは、単なる知識ではなく命を守る行動の第一歩になります。
私、ジェイムス・マイケルはモスブロッカーの技術顧問として、今後もこうした情報をわかりやすくお届けしていきます。
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